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音楽療法(Music therapy)

 音楽療法とは、音楽を媒介とする心理療法と解せられる。心理療法をわけてみると、学習理論に基づいた行動療法的アプローチをとるものと、人との相互交流関係を特に重視するヒューマニスティック・アプローチをとるものとに分けることができる。それと同じことが音楽療法にもあてはまるようである。

 前者はアメリカで盛んだが、後者はイギリスにみられるのではないかと推測する。財界的な政楽療法家であった故ジュリエット・アルバン女史(英国)、故ポール・ノートフ(米国)及びその影響をうけたクライブ・ロビンス(英国)とキャロル・ロビンス(米国)などは、正にヒューマニステック・アプローチをとるものである。

 心理療法というものは一つの創造過程であり、予め設定された操作によって進行するものてはないと考える。カウンセリング然りとかんがえる。従ってヒューマニティックな立場を取る。音楽療法は、録音音楽を使用する場合もあるが、即興演奏による生の演奏に如くものはない。

 アルトシューラーという精神科医が、音楽療法の治療理論の一つとして同質の原理lso-principleなるものを唱えた。即ち演奏者は、入室時の来談者の気分やリズムと同質の音楽を演奏せよというのである。悲しい表情を示せば、悲しい音楽を奏する。その際、素人考えで楽しい音楽を与えてはいけないと言う。
 この原理は来談時に限ることなく、治療過程の流れの中で、随時適用すべきもので、一つの受容の原理と考えた。そこで思いついたのが、かのカール・ロジャーズの治療理論である。悩んでいる来談者に対しては、充分悩ませるだけのゆとりを与えるべきで、一刻も早く悩みから脱却させようとすべきでないというロジャーズの受容の原理によって裏づけられるものと考えた。

 実践に当たって演奏者と来談者の直接相手をする心理治療者とがコンビを組むことを一応原則と考えてはいるか、演奏者が随時移動(携帯)可能な楽器を奏する場合とか演奏能力に秀てる場合は、演奏者は心理治療者をも兼ねうると考えている。

 アメリカでは音楽療法士の養成大学は70校、イギリスにはいずれも1年課程の養成校が3校ある。わが国には残念ながらゼロである。一掴みの人々が個人的にやっているにすぎない。

  参考文献  『障害児のための音楽療法』(山松質文著 大日本図書団)
          『自閉症児のための音楽療法の実際』(山松質文著 音楽の友社)
2006年10月17日(火)  No.45 (カウンセリングコラム::「カウンセリングの技法・療法」の解説)
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芸術療法(art therapy)

 芸術療法の定義は、学説によって若干異なるが、最も常識的には、芸術的な自己表現ないしコミュニケーションを用いて行われる心理療法だと言う事が出来る。その主流は、絵画療法、その他の美術領域の療法、音楽療法、劇療法、その他の文学領域の療法であるが、イメージ面接や身体運動療法をも含めて捉える場合が多い。これらすべては、会話による心理療法としてのカウンセリングに対して、非言語的ないし非概念的表現と洞察(体得)を重視するものてある。
 芸術療法の治療機序は、一概に規定することは出来ないが、第一に、非概念的表現を中心に、日常の概念的生活の中では十分に機能しえない自己表現・自己洞察を促進し、それが全人格的再編成に結びつくことが重要であり、そのメカニズムは、治療的カウンセリングにおける場合と基本的に異ならない。第二に、他者とコミュニケートしうる創造活動を通じて衝動の昇華、社会化、自我強化がなされることが重要で、この面が強調されてくれば、芸術教育、芸術的グループワーク、レクリェーション療法などの形に近づく。第三に、とくに東洋芸道をもちいる場面は、形式に従うことによって自己の不調和を除き、心身調整、自我強化を促進、それを通じて最後には形式にもとらわれない境地が志向される。
 この他にも、芸術療法の形態によって、様々な治療機序が挙げられるが、要はこれらが全人格的、全生活てきに位置づけられることに重要な意味がある。
 なお、芸術療法においては、種々の芸術的媒介を組み合わせ、全体として個々のクライエントに適した形をそのつど工夫する場合も多い。イメージ面接と絵画療法や生活綴方的手法の組み合わせなどは、自然の過程としても起こってくることであり、絵画療法の中で箱庭の材料を用いること、あるいは書道、水墨画を用いることも多い。音楽療法、音楽なしの身体運動、パントマイムなどが然となる場合も多い。どのようなプログラムが最も自分に適しているかを、患者、被訓練者に選択させるのもよい方法である。
 したがって個々の芸術療法が専門的に発達する必要と共に、様々な領域を総合芸術療法が開発されてゆくことの意義も大きい。児童の遊戯療法におけるような柔軟さと総合性が、一方において工夫されてよいものである。
2006年10月10日(火)  No.44 (カウンセリングコラム::「カウンセリングの技法・療法」の解説)
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